旅館の仲居さんに案内されて部屋に入った瞬間、二人は固まった。
布団が二組、しかし間隔はピッタリ隣同士。
「な、なぜだ!
どうして俺様と貴様が同じ部屋なんだ!
」ベジータが声を荒げる。
『知らないわよ!
受付で‘カップルさんですね’って言われた時に、否定しなかったアンタのせいでしょ?
』18号がジロリ。
「ぐっ……!
あれは……面倒だからだ!
」
互いに睨み合ったまま、渋々浴衣に着替え、布団に向き合う。
しかし――
「……貴様の布団、こっちに寄りすぎだろう」
『はぁ?
アンタのがこっちにせり出してんでしょ』
二人は布団を引っ張り合い、ガサガサと音を立てて小競り合いに。
「くっ……俺の力をなめるなよ!
」
『こっちこそ!
』
結果、二人一緒にバランスを崩し、布団ごとドサッと転がる。
顔が間近に迫り、互いに固まった。
「……チッ、くだらん」ベジータは真っ赤な顔を逸らす。
『……ほんとバカね。
あたしもだけど』18号は笑って息をつく。
気まずい空気を誤魔化すように、襖の外から「ガタッ」と音がした瞬間、二人は同時に振り向いた。
思わず近づきすぎた距離に気づき、また沈黙。
「……まあ……今だけはいいだろう」
『……そうね、今だけは』
布団の中、互いにくっついたまま、ぎこちなくも唇を重ねる。
まるで喧嘩の延長戦みたいなキス。
けれど、それが二人らしい。
2025/10/03
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