両親が他界してから、僕と妹は二人きりだった。
朝ごはんを作るのも、風邪を看病するのも、誕生日を祝うのも
――全部、僕と妹でやってきた。
誰にも頼らず、肩を寄せ合って生きてきた。
それは、確かに‘僕らの生活’だった。
「ただいま、お兄ちゃん」って笑いかけてくれるだけで、
救われた気がした。
妹の笑顔は、僕の唯一の希望だった。
けれど、それも過去形で語らなければならない。
今年の春から、妹は大学に通い出した。
中高一貫の女子校から、初めての共学。
僕は嫌な予感がしていた。
だが、止める理由もない。
応援するふりをして、心のどこかでずっと怯えていた。
そして、それはあっけなく訪れた。
「今日、友達…じゃなくて、彼氏を家に連れてきてもいい?
」
その一言で、僕の世界はぐらりと傾いた。
僕らだけの家に、他人が入ってくる。
リビングのソファに、妹の横に、見知らぬ男が座る光景。
笑い合いながら、
僕が何度も見てきた妹の笑顔を、
そいつに向けていた。
「お兄さん、初めまして。
沙月さんとお付き合いさせていただいてます」
沙月――あの子が他人に名字じゃなく、名前で呼ばれている。
それだけで、胸がきしんだ。
「……そうか」
それ以上、言葉は出なかった。
食卓を囲みながら、僕は必死に感情を押し殺した。
ぎこちない会話、取り繕うような笑顔。
妹はずっと彼を見ていた。
あの目は、もう僕だけを見ていた頃の妹じゃなかった。
帰った後、僕は何も言えず、ただ洗い物をしていた。
後ろから妹がぽつりと言った。
「……ごめんね、ずっとふたりだったのに」
「別に、謝ることじゃない」
言葉にしなきゃ、崩れてしまいそうだった。
僕はただ、うなずくだけで精一杯だった。
あの家は、もう‘僕らだけの場所’じゃない。
それが当たり前だって、わかってる。
わかってるけど――妹が誰かのものになっていくのが、
悔しくてたまらなかった。
そうして二人は抱き合ったのだ、僕の眼前で。
カッと頭に血が昇った。
逆上し、僕は妹に襲い掛かった。
そ
れは間違いなのかもしれないけれど、もうすべては手遅れだったのだ……
【作品構成】
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※本作品はStable diffusionにより生成したAI作品です。
※本作品は全てフィクションであり、人物や設定等はすべて架空のものです。
2025/06/12
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